2016
TADAYOSHI OOKURA ∞




薔薇さえ食い物
冷めてもおいしいきみとグラタン
光よりも速度ある密度で
そのひとかけらが愛に繋がるんだ
Good night your Heart.
シュガーコーティングした絶体絶命
透明な憧れを噛み砕く
エディブルフラワーの浅ましさ
いとおしい空腹
右手にタイムマシン左手にサテライト
ドラムスティック・コンフィズリー
貪欲に満ちた木漏れ日
世界でいちばんかわいい化け物
奥歯に隠した秘密
ぼくらはみんな餓えている
誰よりやさしい羽毛に埋もれて眠りたい
すみれの花束に落ちた雷
アマレットとよく似たきみの血液
染めたての金色
箸を持つ方の手で愛してほしい

Sweet Sweet My Villain.
いつかきみが屠肉となるその日まで
真夜中のカレーライス
なまめかしい心臓だけが本当
鋭利なときめき
その身の内のゴッサマー・グリーン
林檎ひとつぶんの狂気
180cmより上にも世界は広がっていた
騒ぐ季節の傍らでついた頬杖
お鍋の中に住む怪物
食物連鎖=ラブソング
ピカソとオムライスとケチャップ
Marder Marder Marder!
五月雨で満たされし羊水より生まれた
嘲笑めいたピースサイン
まるで血を浴びるように喝采さえ
太古の昔から射られる光
マイ・フェイバリット・ホリック
未来は片目を閉じている間に
転じて花吹雪

角の生えた天使
ワイングラスの中でおやすみなさい
告白のための真っ白なお皿
ふたつとしてない真夜の座に腰掛けて
誰がバターを焦がしたのか
エメラルド・オン・ザ・ドリーム
涙でできた獣道
文字列の上に出来たきみの影を追う
スポットライトの片生り
やさしいひとにならば殺されてみたい
Hello “over the moon”.
この体のどこかに隠したもうひとつの目
花びら満ちる猫の額
ぼくらの歪なア・ランプ・オブ・シュガー
冠にさえいつしか緑は生い茂る
かわいい悪癖
摘みたての五月をばら撒いて
いまもずっと未来の最中でありますように
間近の傲慢、果ての爛漫
はじっこの欠けたチーズタルト

満開の暗号
エンドレス・クリームソーダ
同じ数字とは思えないほど尊いばかり
零れた日なたに止め処はない
いつかきみがちぢこまって眠る愛のために
花を燃やして心臓を奪って
ユニコーンもひばりも繻子の結び目もぜんぶ
100年後でさえお前の夜
わたしの眼差しでできたアンダンテ
苔生すくちづけ
アルデバランのモンスター
きみは夜明けの前のいっとう暗いとき
継ぎ接ぎの春風
限りある無垢に垂らしたアルコール
返り血を隠すための花束
極彩色でさえ太刀打ちできない
コーン・リリーの咲く夢
未だ世に無い名前で作ったしるしをあげる
凶暴なエフェメラル
この拳銃でハートマークにさよなら

青葉の幼獣
限りなく透明に近いてのひらの一端
乳歯みたいな苛立ち
賢くはない36cmのトンキニーズ
寿命の内側で緑を喰らう
いつだってみんな先端だけふぞろいな
お前の眼差しでできた窓枠
ぼくはわたし、ひかりが溢れるその数だけ
さざ波の呼吸
ゆっくりとまばたくラブレター
虹色の血潮
きっと何者にもなれないそよ風
輝きをまじなう膚
スパンコールをまぶした明日
わたしのまぶたのヴィリディフロラ
おなかいっぱいに呼ぶ名前
宝石も文章もぜんぶぜんぶ胃袋に収めて
冴え冴えとニュームーン
ちいさな星、春のみぎわ、ひと匙のキス
21グラムの無限大

thank you

Miss von Smith&hankodeasobu