世界は五分前からはじまった
あなたの腕の中がわたしのルルイエ
ズーノーシスへひとめ惚れ
もうとっくのとうに肌膚はいかれちまってて
華氏で言えばあと何℃必要?
「ティンカー・ベルが通った跡みたいだね」
結末だけくれればいいよ
僕の獣性をかたちにしたら君となる
襟足に絡みつくはい虫と流れ星
Jump on 'em with The Rocky Horror Show.
ドーナッツの薄片だけが看ている
発音不能の明日を夢見て
這いずりまわるはサファイアの砕けた音
心臓がオルテンシアの真似をする
とろけてしまったThe Meeting Place
水没した神話をあやす指先
「この冠で視界を閉ざしてしまえばいいのさ」
生かすも殺すもくちづけも
花束が生んだ影が人格を持つ夜に
ハイセンス・ナンセンス・アイラブユー

あなたの中に広がる海を知っている
君の彩度をくちずさむ
抱いて眠れば水平線のにおいがする
死ぬには燐寸一本あればいい
耳をすませば心中
100年たったらまぶたの入り江に帰っておいで
おまえは四肢ある華美と悪徳
わたしの体躯を光の渦へ変えるひと
左胸は舌足らずの神殿
「いちばん最後に世界の涯てまで連れてくよ」
僕のための溟渤で撲ってほしい
血が鉄道ならば星の傍までゆけるだろう
羽毛で満ちた修羅場
今夜も怖がったりなんかしない
綯い交ぜの祝福と呪詛を紐解く唯一
このばらに名を憑けるとしたら
太平洋の身にすら余る熱量で喋らないで
息継ぎのない遊泳
わたしの耳朶が真昼の月となる頃
自分ではもう触れられない場所がせつない

ライク・ア・ミッドナイト・ブルー
回帰するための溢れる一滴
手繰り寄せるは何れ菖蒲か杜若の滅亡
おやすみなさいロマンチカ
最後から数えて何番目かの白夜になる
夜明けの庭でわたしの肺腑にうずもれたがる
引き剥がした概念を食べて
まるで孵化するように傷つけ合えば
乳房に触れる暗闇の象り
シーラカンスの言語野でおしゃべりをしよう
正しい火のある場所まで道連れ
まなじりに懺悔室を飼う
聖母も悪魔も口腔の柔さは同じ
もうなんにも無くなったら天秤へ乗せてね
真円の欠けたテレパシー
明けても暮れてもはなもげら
おなかのいちばん熱い部分はあなたのもの
「ああ」「窓に」「窓に」
月をうしろ手に縛るためのエンドロール
映画館の暗がりで甘い癌を患った

いつかふたりを犯す通り雨
あなたは愛の本体だから惜しみなく奪っていい
4分33秒のテディベア
ひとみを閉じれば宝石が生める
言えない言葉はアロサウルスの足跡にして
かなしみに似通った星座の息遣い
この世で最もちいさな遠吠え
泪も同然の水母たちが声なく恋するように
おへそにさよなら
純白の鍵穴を探して触れて舐めて壊して
サムシングブルーの瘡蓋
例えば木漏れ日を踏んでみても
苦しみと潮位とあおい煙だけをその身に纏え
肋骨を開いて見せれば真秀が泣く
天国か海底へゆける匣
あなたの虚か恵みに棲みつきたい
噎せかえる生命のうちからぜんぶ選んでいいよ
頬に浴びたホログラムと夏蝶の死骸
めでたしめでたしの孤独
蚕の従順さであなたに抱かれていたい

My Sweet Ke'oKe'o.
振り返るたびに野蛮な結び目を与えて
首筋から永久凍土のにおいがする
ともし火に餓えていた
スイートピーによく似た化け物
花氷の痛みだけを手ずから流し込んでほしい
黒洞々たる祈りで飾れば
ベッドの中には君の寝息と馬の首
オーロラは瓦礫になった教会
「うまれてはじめて見たものを覚えてる?」
牙の生えたストロベリームーン
「世界が“なんでも”を起こすよりはやく」
血と同義の虹に塗れる
ポップコーンとコークと起源のはなし
「来世はNASAの職員になる」
まほろばでさえ蟻を模倣し群れれば地獄
口の端についたバロックパール
季節でいっとうの鮮やかさとやさしい沈黙を
今日もどこかがかならず青空だよ
One more Kiss in the Times Square.