and Go To Davy Jones' locker.
世界でいちばんまばゆい暗澹
そのあわいは気が触れたように在る
薄ら氷のみぎわで俟つ
だってここはもう海じゃないもの
肌膚を這いずる集真藍の庭
てのひらの中でうごめく赤舌日
星のほうがきっとうまく群れれよう
あなたのための淋しい熱帯魚
返り血に以上も以下もないままに
慈雨のにおいのする化け物
そうしてあまねくすべてに夜がいる
欠けたひかりの代わりの雨と花
ふたりに必要な奇妙な窪み
やわらかなおぞましさに支配されて
きみは定義を持て余した港町
沈黙を純白に織らないで
心中よりも確かなことをしよう
云えるならば月だけれども逃がす水
游げないけど謳える真火
まぶたさえも失ったパレード
雪よりは軽くて泪よりは重くて厄介
例え間違った匣の中にいようとも
好いも悪いもぜんぶ燃やした
熔けないおまじないでどうにかして

おまえの柩が凍ってしまう前に
吼えるように咳き込むように呼んで
真雪の向こう側を嘯く
赦せるかと問われれば赦す
常夜灯が滲むほどのくちづけを
爪と肉のあいだにささやきを埋めど
きっとぬばたまよりもめくら
腐した小夜の寝息にひと筋の祈り
頸に奔る甘い轍を燃やして
触れれば冷たいばかりの結び目たち
ちいさな潮騒がかたち持つ頃
ア・ランプ・オブ・アデュラリア
うなじにたったひとつの洞
祝日だったなにかが蔓延る膜を噛む
わたしを花切り鋏にするひと
呼吸も華氏も純水に間近くなる
木漏れ日の亡霊を弄ぶ
ガトーショコラで成す墓標
せつなさは今日もむずかしいまんま
知らないことを知っていた
耳殻に施されるは揺らめく月痕
はい虫を簪にして縫い止めて
雪豹の血肉でできたまなじりで眠る
この身のうちに暗がりを齎す
よろこびもかなしみもきみで終わる

My name is "Lopado...pterygon".
殯なき街の割れ目に滴る朱砂を
どこにもゆけない五指
悴みも熱源も構わず異称してほしい
溟渤のはじまりはとうに奪われた
その肺腑に流れる涯ての粒
今夜も火水めいた余白で踊るふたり
泣けば泣くほど満つ函蓋
五分前からずっと眩に餓えている
プラチナでつながる已己巳己
水無月を殺しながらうまれた双眸
漁り火からあぐねるくちびる
生まれ変わったら斜陽になれるよう
ぼくが手ずから撫でる雷汞
鄙びて落ちた花瞼で燐寸を擦る
暗夜に間近いやさしさで手離さない
あどけなく鮮やかな胡乱
翻る影の隙間に潜んで愛を知る
さながら伽羅のてのひら
幼くて獰猛で野蛮でやさしくて唯一
獣じみたまばたきで結印する
四肢に夕凪を与える
血が青くなるまで抱きしめていて
不穏で歪な己を刻んでゆく
ベッドの淵で流れるキラーチューン

ティンカー・ベルにひと粒の獣性を
氷凝りの頬を撫でる
ちいさなプリズムを皮下に纏う
万劫の夜明けを掬った水槽
陰鬱を輪になおした冠
いっとうの夕立を浴びたらば
左胸からほど遠い場所ならいらない
絡みつく凍て晴れの和毛
どこへゆくのだなんてそんなの
血腥いまなざしで微笑んでいても
あどけのない癖のついた御胸
慕情のカリグラフィーを追いかけて
かの深淵に綻びを捧げる
劣等をしとどに濡らす錦秋の座
錆びついた息継ぎにローストミルク
どんな色でもない贖物
変容しない鍵穴の静けの跡
輪郭に黒い縁取りが重ならぬよう
穏やかな大理石の上でひとり
メロディー・イン・ザ・バスルーム
足音がしない海を飼っている
痛いぐらいはじまりの箇所が甘い
おおよそしなやかな邪教
傍らにいっとうきれいな目覚め
すきなだけ灯してすきなだけ穢して