Steven Allan Starphase

2019.06.09

Happy Birthday.

どこよりもここよりも僕よりも
舌の根に隠れた終末論
俄雨が意思を持つようになる日々
明滅するけものたちの数字
おまえの羽根はすべて排水溝の中
ゆるやかに錯乱していてね
虹もたばこも一本だけでいいの
化けの皮でこさえた花束
盗電するみたいにくちづけて
知恵を手に入れたキラーチューン
あなたにお大事にと言ってほしい
夏蝶のかたちをしたエネミー
まぶたから浚われてゆく
うしろ手に飼う極彩色の矛盾
水溶性の指先で引っ掻いて
どうしようもなく夢のまにまに
ブラック・コーヒー・ムーン
海がきこえなくなるところまで
さざ波めいた柩の淵
きっと正しくなにかを失い続けて

Mad Hard Tiffany Blue
どこもかしこも落暉の心臓
ちゃんちゃらおかしいラブリー
水銀もモルヒネもきみを模す
刹那を翳して目を閉じて
指と指の隙間から見つめていて
花弁か血霞か星屑か明日か
ぼろぼろに毛羽立っても愛してる
消えかけのなにもかもに
四肢を持ち得るおまえの麗らかへ
マーマレードだらけの失楽園
喉に詰まったおまじない
そのドアノブに名前をつけて
足元ばかりぼやけて見えない
破滅するならば今がいい
雨が降っても噛み砕けるように
この一縷を見咎めて
不要になった全ての透明で呼んで
あの一滴に恋をしていた
解体新書じゃもう追いつかない

ハロー・イン・ザ・ダーク
もう今は誰も使わない五指で云う
てのひらに凍傷と熱病
おやすみなさいのキスより複雑
土に還れないロマンチスト
この世すべてのばらを燃やせば
今日が昨日となっても祈るよ
縺れたまぼろしをただ抱きしめて
灰色に膨らんだパンケーキ
傷だらけのジューン・ブライド
死んでも解けない六月
ひと匙のブルースクリーン
方角さえも欠けたまま埋む獣性
バンクシーはふたりのために
甘くて苦くて痛くてもうしんどい
頬にひた奔る幾何学模様たち
おまえが鼓膜を烟らせる
飛んで火に入るスローモーション
目から鱗の流行りの夏風邪
My Little Good bye.

なけなしの点と罰
100年経っても輪郭に棲むよ
逆さまに落ちても海として好いて
きみは眠らないイノセンス
うたえないうたをうたうように
フラクタル・ラブソング
簡単に単純にover the moon
ほんとうはやさしい不正解
旬に融けゆくまま
To be continuedが這う庭で
ふたりのあいだのアパシー
うっとりするようなさびしさを
三歩進んでも忘れまじ
いずれかが足りないフラミンゴ
蒼い金魚を指環になおせば
箔押しの通り雨
燃える花瓶の中の水のおはなし
氷が溶けて瑕疵になる
刻印の上から毒を沁ませば
天使じゃなくともこころが震える

ポッピン・ポイズン・クラウン
病床めいた眩さのにおい
嘘じゃないことだって在った肌膚
寝室に無彩のハッピーエンド
わたしのための難破船
いつか零れても見ていてあげる
永遠よりも息衝くように
世界でいちばんあたたかなQED
水平線の密度を越えたら
誰もいないターミナルを望んでる
はちみつの味も夏の味もしない
あなたに捧げる美しい消失
終わりのある仄かたち
どうしようもなく星が流れている
振り向かないでウォーアイニー
雨降る夜の言語野を撫でて
はじめて歩いた日の静けさよりも
魚のような祝意と悪意
俟っているのは夜明けじゃなくて
どうかやさしく喰ってくれ