ほのじろい傲慢
薄汚れた一拍を抱いて
氷雨のにおいのするまぶた
剥がれ落ちないから永遠
この冬を孕むまで
いびつにはじまる体温
Give me a Kiss Good Night.
澄み切った波旬
淡いうちの翳
よふかしの五指
is the star wet or dry.
ほどけることのない濁り
思い出は燃ゆ花の傾き
なにもかも谷の塵へと還す夜
独り言に混じった凍傷
おまえのみぎわを握り潰す
ゆるやかな暗澹
うずもれた死角に触れて
まどろみの向こう側にいたい
杯を満たす52ヘルツ

ちいさなさよならだけ信じた
愛を過ぎれば空も落ちる
なまぬるい鯨幕
馬鹿げたかなしみを映して
慈しみが歩きだす頃
ぬばたまの餞
擬態するための咀嚼
その双眸の何処かにはいた
遍くすべてじゃ満ち足りない
降り頻るハレーション
まばたきのできる化け物
玉響を弄ぶ夜更け
覆い被さる白痴の庭
美しくなくなるまで踊ろう
ひと筋に呼び合えば
とうに冷たい羊膜
痕になぞ祈らない
手繰って手折って手向けて
螺旋の先のくちどけ
未だ見ぬ明日のかけらを瞳に

星屑と泥水
まだ海へ行くにははやい
須臾のかたちを持てあます
舌の根に欠けゆく静謐
かたわらは泪よりも重たくて
あなたの暗がりを掠めた
陶鬱の硬度
やさしい灰ならば生めよう
壁に凭れたままの夢
もう少しだけ苦しみたい
ミッド・ブルー・ナンセンス
眼前に涯て
ただひとつの行方知らず
心や臓よりも蝕んで
綻びへ擁す鼓動
たそがれだけが傷つけられる
いつか吐き出した紗幕
苔生す垂涎
不帰の異称を喰らう
きみの中に迂腐を探しただけ

わたしにやさしくしないでね
渺渺とした二人称
手暗がりの単眼
Fly me to the Loneliness.
正しさも間違いも粉々にして
銀の今際を注いだ輪郭
孵れるし還れるが帰れない
棄てられない点描と夏
せつなさだけがわからぬまま
薄ら氷の窓の住人
ミルククラウンアディクション
さびしいに毛羽立つぼくらを
短日の頬辺
くちびるだけが海にならず
さざ波の通い路に転がる
空の下で坂の下で雪の下で
永い不吉をいとおしめば
うなじで破滅がうたっている
おばけたちの性感帯
この心中から離れないように

この世すべての前日に
膨らまない明滅
あなたのための午夜でした
青い窪みへ群れる睥睨
唯一の奇麗と游ぐ
透きとおった天辺を噛む
小夜めいた蔓延り
四肢を持ってうまれた我儘
身になまめかしい淵
まばゆくなければよかったね
微塵の音沙汰を撫でて
羽ぐくめない足音
きっといとおしい破れ目
ただ春を俟てなかった
息継ぎの禍
プレリュードにだけ名が這う
てのひらに禁じられた問い
きみの一縷の祈りへ
Go Back to the I love you.
そうしてぼくに呪われるまで

2019.12.07
Satoru Gojo . Happy Birthday .