息を止めたらもうすぐ其処に
どうせならば飢饉しよう
多眼の国の鐘の音
辻褄も帳尻も合わない場所で
混濁の塒
あおじろい足音
俎の上の厭えぬ露
生めども生めども後の祭り
人魚の髪も煮ちゃえば喰える
はじめから火なんぞない
雪じゃないならなんなのさ
その名に結ぼる
宵越しの窪みを撫ずれば
たかだかひとつの夕霧でいる
吾が慕わしき禁忌たち
いつか何処かでを握り締め
そうして春に怯える
払暁を真似る猿を燃やせ
きっとずっと今日が足りない
不退転と花切り鋏
よく似て非なる薄皮一枚
この世の跡形へきみが上擦る
欠ける指先の陰翳
汝、心音よりも低く在れ
塵も積もればわたしの胸刺す


破れかぶれの吝かの瘡蓋
それがふたたび氷りつくまで
互い違いの人殺し
不香の乱れ髪
冷ややかな旬を飼えども
はるかなあわいのかなたにて
日和を穿つ瞬間
もう二度とをもう一度
近づかないで遠ざけないで
うまれてこのかた冴え知らず
頓珍漢の狭間に転がる
謳わぬ青
ゴースト・ウィズ・ユー
毟り取るためだけに生える夜
花さえも暗い
帳の最中に呼ぶんじゃねえ
落ちゆくばかりでなにもない
ひと昔前のさようなら
問いの在り処を飲み干して
永遠とは今のわたし
行き止まりを頬に描けば
うつ伏せの幸福論
情緒にとり憑かれている
おのれの意思で壊れたいんだ
滴らない愛がいい


おまえ如きになにが聞こえる
きみの微々に腥い皓々
はた目の化け物
仮初めの骨ばかり溢るる
村を燃やせ此処に海はいない
失うことよりもさびしい頃
SAZANKA 404 Not Found
てのひらに天罰のにおい
安らかな宿りを振り下ろせ
風前の灯を掻く器
足元で揺れている五蘊盛苦
蒼然としている傷痕
わたしには右も左も必要ない
音の無い暴論
麗らかな棘
灰色の合掌
寝汚い云爾
ただ怖気づいているだけ
夢のつづきにしては厭らしい
暇つぶしの歯牙
そないな不揃いよう好かん
胎動の脂
転調するカウントダウン
これがいわゆる村八分
美しいはなしはもうやめよう


ひと摘みの煉獄
きれいなおもひの数え方
さすれば、あなたの轍の上で
華氏と菓子と仮死
言いたいことは水が欲しい
ぼくの白昼夢のような罵倒
満月なら途絶えた
患いにゆきすぎて片付かない
静謐のポルターガイスト
急がば回って望みどおり
あるはずのないものへ凝らせ
息の間に闇を滑らせて
暗夜の入り江に見つかる前に
たおやかを差し伸べないで
散らばる末路
めかし込んだ孤独でおったる
氷点下の蟲
くだら野に響いて消えない
one more time junkie.
我がもの顔の嘯きの寝息
飛び出して最涯て
馬鹿にもくちびるはついてんだ
まだ朝は来なくていい
眇めて見つめりゃ素晴らしき
次回予告「どん底の擒」



2019.12.22
太刀 銘三条(名物三日月宗近)附 絲巻太刀拵鞘