୨୧ #odaibako_rhnfdg

ツイッターに置いてあるお題箱よりいただいたリクエストお題です。
どなたでもご利用いただけます。規約はガイドラインで提示しているものと同様です。


あの子の秘密

火と蜜と■と
ほんとうは潮騒なんてきこえない
濡れて膨れた音色で呼び合おう
ひと差し指だけうずもれる夜に
薄闇のときめきまどろみキス寄りの傷


ざらめの好きな都市をイメージしたお題(国内外問わず)

一段飛ばしの天国地獄大地獄
迂闊な木洩れ日と羶肉
鬼も龍もあの子も灰にしたならば
ゆめを摘まんで煙にしゆく
よもすがら禍を転じて喰らう


ふたり、寄り添う盲目

きれいで不純な窪みに噤む
目には見えない皮膜を燃やして
この指先だけが辿れる楽園
世界はいつも100%じゃないから
すべて欠けてようやくほんとうになる
カーステレオ響くさよなら愛してた


夜に聞こえる虫の鳴き声が変わった気がして気分だけ秋

半開きのひかり
もう噛みつけなくなってしまうから
羽も咎もなく転がる信仰
きれいなものがまばたきをやめる頃
膨らむなにがしかを飼っている
どうか火を見るよりも夢で逢うよりも


十八番目の季節より

きっと木洩れ日を遮ってうまれてきたの
そんなものをこころに喩えないでくれよ
ひとりにもふたりにもなれないまま明日
もうまばゆくなれないわたしのわがまま
もういまから天国のことをかんがえてる
もうふしだらになってもいいとおもった


幼馴染との恋

ピンクとバニラの憂鬱
一秒でできることぜんぶあげる
ふたり綯い交ぜじゃないこと
触れたら落ちるひかりのこと
かさぶたのにおいさえおなじ夜
世界を冗談にする前に


middy moonの言うことにゃ
噎せかえる夏の魔物のにおいに
永遠を思い出せ
世界中が見えなくなって消えなくなって
ぼくら譛にて豁サを險シ譏する
凄惨なすべてになってみたかった


あなたに灼かれるためにここまで飛んできたの

うなじにひろがるばらを掻けば
けして輝かないきらめきに充ちて
ひとりごとじゃないから遍ける
あおいまんまじゃはばたけない
波打ち際に噎せかえる愛をつく
くちのなかの砂糖と水のように
ゆびの先にはい虫の燃えるにおい
夏の海の点と線を塗りつぶす夜


夏とお別れ

閻魔さまの境目にキスしよう
浅いめまいを繰り返してぼくら
キュートアグレッションとか嘘
おはじきみたいに火星を弾けば
なぞっただけで掠れるすべてに
夏じゃなかったらどうしよう


白魔女と香水

ゆめかわいくないキスひとつ
あなたがまどろみに出逢うまで
握り締めた透明が心臓
ほんのちょっと斜めなけもの
見つめ合うには多くて足りない
永遠という字のはんぶんをあげる


タロット大アルカナ16番目「タワー」

あをい臨月
枝垂れる獣の襟足に触れて
甘い嘘やわらかな肉わたしにはないもの
太陽に見えないところでキスできる
空白の産毛を束ねたならば
いちばんかわいいみぎわを反転にして


教育

陰日向にうつくしさの数え方
しろいひかりを踏みしめて
鳴り響くことのない愛を
置いてきぼりの春ばかり
いつか遠のくただそれだけ
花の名と街の名をひとつずつ


黄昏と輪廻

ドーナツの穴を食べるまで待って
溶けないで梳けないで解けないで
焦がしたミルクからはじめないで
海よりも塩辛いままキスしないで
ふたりシャングリラから弾かれて


オムライス

どこまでも失われた青と十指
とろとろじゃないと戻れない
ゆるやかな異質の涯てをつくる
半開きの夢みたいなところにいて
それはきっと派手なほうの鯨幕
ふわふわじゃないと許せない
口のなかにすべてが蘇るまで


優しいあなたは怒ってもやさしい

こんがらがった陽光を摘めば
なぞれない輪郭ばかりをいとおしんで
まばたきのたんび歯がゆい音色
どうしたってできる隙間に花びら


大きな目

誰もうたわなくなった頃
ひかりだと思っていただけの禍
なまぬるく這いずる縁取り
あと幾度かの夕立のうしろにいる
わたしのすべてをほどくような


「残暑」「晩夏」


眼前
陽と翳
素赤の骸
浮き出た甜
まぶたなき夜
つま先の結び目
熔けゆくためらい
うつくしくない撩乱
色違いの祈りを並べて
言葉なき富を弄んでいる
濡れた額に描けない残り火
なかったことにできない十指
いつか天より落ちてくるつもり


余裕な男への逆襲

追伸で告げるような夜の手
ヌードカラーシューティングスター
やわらかな燐に潜らすつま先
肌触り風向き月明りくちびるの端
さびしくっても死なないふたり
きみとイン・ザ・ドリームのすべて


花と火と繭とふわふわの蛍光色
弱りきった炭酸水のような淵で
猫のからだの模様みたいな渦中
永遠でさえも裸足で逃げる夜に
閉じ込められたあをい毛羽たち


相互不理解

幽霊の火種の幽霊
頭上の月夜と足元のガソリン
はじめてを毒に浸して春
雨ざらしの舌先三寸
告げても煙へは戻れないから


燃えないゴミ

この身に抱く花をめまいと呼ぶ月曜
灰よりも重たいものは持てない火曜
きみの正体が海だったと知った水曜
名の下にて眠るけものが微笑む木曜
ぼくらよりも薄いロマンス這う金曜
天使の羽根が人殺しに使われた土曜
なにもかもを燃やせるふたりの日曜


clownとcrown

ぜったいにきらめけないところで俟ちたい
不埒とパライソの隷属
それはいったいなんの和毛か
けだもので在れなくなった十指に
うずもれた輪へ名を示す
I'm going to make you the Final girl.


『阿僧祇』『那由多』『不可思議』といった数の単位

頬へ翳された涅槃寂静
四万由旬のあいだにキスぐらいしよう
鼻先で揺れる那由多の暗がり
かの輪に阿僧祇の月蝕
雑じり気しかない不可思議の涯て
わやくちゃの瞬息
一切も合切も数えられなくなるまで


ダンテの『神曲』

なんにも知らない光を撫でて
しらほねのようなばらへ嘘を吐く
きっとつづりだけが同じのベアトリーチェ
この身は鍵だけを象っていた
ふたり火に萌されども終われず
おまえをダンテなどとは呼んでやらない


ストロベリーとバニラ

まばたきの間の流刑地たち
天を翔けるように地を這っている
火とも花ともつかないふたり
リトル・リトル・パンドラ
わたしの名前をほざいていてよ


紫と黒

ないものねだりのにおい
僕ら傍ら過日が掠めてら
贋物の腑
たったひと握りの美しさ
あればあるだけ失う夜に


水族館/クラゲ

光度と硬度のはざまに触れて
あおじろいルサンチマン
きっと振り返ったときに壊れる
億劫を敷き詰めたふたりに
他の魚じゃだめだって話をしよう


岩融

一滴の陰影
吹きすさぶ夢
重ならない祷り
あの滲みに名を差そう
反転するメロウ
たゆたいの牙
混濁する杯


絶対零度

あなたのこころのなかで踊っている
凪いだ海にもかたちがあるように
もの静かなけものの欠片
それをメトセラと呼ばないで
うろ覚えの夜、かぎろひの心燃ゆ
Madogiwa no nioi ni Kiss wo shite.


秋の夜長のみかずず

踏みわけた恨み節と椛の上で
やたらにはっきりとした心中
生殺与奪に甘く煩う打首獄門


こどく(孤独/蟲毒)

惚れて腫れて指が増えた夜に
ばらの花より煮炊いた葬式
もう一度だけ火で遊ぼう
口を開けば鯨幕
錆びた舌の根で滅多刺し
なにかを失う瞬間を愛して
まいどおおきにほなさいなら


しょうがないひと

シーザーサラダで火傷をするような
よもすがらのあらすじを飲み干せず
海の中よりもっと遠くでまばたいた
額縁と壁の隙間でしか寄り添えない
夏の光に喰われた夜ばかり触るから
いつだって蜘蛛の糸のにおいを嗅ぐ


星に手を伸ばす

最速よりもすこし遅いぐらいでいい
振り向きざまに気持ちを棄てて
いちばんが憎い夕まぐれ
人知れず明日を失うような
膝小僧がキラキラするまでのあいだ


世界の終末

辞書でさえ躊躇うパラダイス
あれを木洩れ日とひとは呼ぶから
胸にだけ巣食うなにもかも
生暖かいてのひらのまんまで
眠たくなったもん勝ちの明日でした


ひとり

アンバランスなフラッシュを抱いて


とうらぶホラー

いぬいぬこいぬいつまでこいぬ
重ねた五指の隙間に座す赤口
あの夏の夜の夢を孕みまじ
まぶたのうしろの睥睨
足の裏の秘密
ハレの皮膜にケの意思
立てど座れど歩けど女王蜂
ぼくらはどうして燃えている
ねこねここねこどこまでこねこ


亡霊/人工知能

火星の夜明けを履いた
手足いずれかがひとつだけ多い
滲みついたさびしさたち
赤ちゃんみたいな黄昏にいる
あざとく膨らむばかりのテレパシー


薬研藤四郎

四つ足の祝祭日
噛み合わせの悪い火の粉
滲まない夜を剥いて
夢とよく似た地獄の硬度
回帰の裏に生えている
花で覆い尽くされてしまう前に


夏に死ぬ

ビター・ブルー・ビヨンド
心臓よりもきれいな化け物
あの子はひと匙の黄泉戸喫
溢れてもけして満ちない蜜
振り向かないで振り向いて
どうにもならん修羅ばかり
生い茂る緑を邪まと呼んで
触れれば跡形もなく燃える
ほんとうは誰もいなかった


掘り起こされた過去のトラウマに悶え苦しむ心情

頭の中の真夏が叫んでいる
ひと筋の悪魔
くちびるを集めた壺
庭先に七本目の指が落ちた
手掴みする錯乱
極彩の鼻血を舐めて
メランコリーを浴びたら帰るよ


こころ

氷の果実、砂上の焔
今度は絶対に間違えないと言って
ロックンロール・エンドロール


暁が煙い潔白の空

アブラカタブラじゃ止まらない
海砂利水魚のメインディッシュ
月よりもずっと遥かに脆いばら
きみにはピンクに見えていても
額縁のいちばん丸い場所にいる
ケラ・ケラ・ケ・セラ・セラ?
蟲の名前のようなラブ・レター
いつかの有情に沿う忌み数の海


ざらめ本丸

ダーク・イン・ザ・ダーク
まるで光を殺すよう踊って
糸操りのグレープフルーツ
心臓よりも左側にはいない
サイケデリック・ヴェノム
夏の虫よかよく死ぬ波羅蜜
ぐるり廻るファムファタル
不確かなれど鮮やかな影片
ドントストップグッドバイ


山姥切長義


裏庭
僕の甜
凶日の汀
夏至と冬至
日の出から嘘
儀礼的な永久歯
塵も積もれば五指
匣の皮を剥いだなら
万来に毛羽立つ暗がり
凍土の下のいつかの青よ
ちいさな逃げ水を持て余す
そんな夜もあったのだと云う
震えてしまうような一切合切を


へし切長谷部

木洩れ日のひとつずつを潰すように
花の咲かない掌
蒸し暑いなにもかもさえ愛だった
覇王樹にシュガーコート
夜明けみたいな血の色を飼っている